前編では総合ランキングを見ながら、この作品が実は面白いなどをピックアップしてきましたが、後編では、番組別ファン層と、性・年代別ランキングの横比較をしたグラフで面白いアニメを見つけていきます。
片岡
ここからは、より詳しいグラフを使って、「面白いアニメ探し」をやっていきましょう。大きくは2種類のグラフを使います。1つ目は「番組別ファン層分析」グラフで、簡単に言うと「この作品を見ている人は、他にどんな作品を見ているか?」です。2つ目は「性・年代バランス」グラフで、「総合で順位が高くなくとも、特定の性・年齢層に実は人気がある作品」を知ることができます。グラフを難しく考えず、作品選びの参考になればと思います。
ではまずファン層の方を見ていきましょう。このグラフはレグザ視聴データのサンプル数があってようやく可能になるものです。ほぼ全話見ている人同士の掛け合いなので、サンプルが少ないと誰もいなくなってしまうのです。どの作品を見てみましょうか?
吉田
じゃあ『ザ・ファブル』にします。
『ザ・ファブル』の番組別ファン層分析 (特定番組視聴者の中で何が見られているか)
片岡
これは『ザ・ファブル』をちゃんと見ている人たちの中で、他にどんな作品を見ているか、というグラフです。「ちゃんと見ている人」というのは、『ザ・ファブル』全部の放送回のうち7割以上の回を見ている人たちです。さきほどの棒グラフのオレンジの集合ですね。このグラフの上の方にある作品 (赤枠で囲んだところ) ほど『ザ・ファブル』ファンだからこそ見ている他の作品たち、という意味になります。
仮に、この『ザ・ファブル』の視聴者が 50人いるとして、その中で『NINJA KAMUI』を 20人が見てるとします。20人÷50人= 40% ですね。一方、この外側でこのグラフの右側にあるような約50作品のどれかをちゃんと見ている人たちが全部で 100人いるとします。その100人の中で『NINJA KAMUI』を見ている人が 20人だと 20人÷100人=20% になります。
『ザ・ファブル』ファン内での 40%と、全体の方の 20%を比較すると2倍ですね。つまり、つまり『ザ・ファブル』ファンは全体より2倍多く『NINJA KAMUI』を見ている (= リフトしている) という意味になります。
吉田
2倍というのは、つまり2倍多いんですか?
片岡
はい、2倍です。正確には、それぞれの集合の中で見ている率が2倍、です。下の図を見てみましょう。
先ほどの『ザ・ファブル』ファン集合を [Y] とします。その中の「番組B」が 『NINJA KAMUI』です。一方、右側の青枠 ([X] の中) の「番組B」も『NINJA KAMUI』ですが、それぞれ 20人見ているとすると、[Y] は 50人の中の 20人、[X] は 100人の中の 20人なので、20÷50=40% vs. 20÷100=20%。40% vs. 20% は前者の方の率が2倍大きいですね。これがグラフの縦方向の数字にあたります。
上のグラフでは『NINJA KAMUI』は実際には 1.7倍と読み取れます。『ザ・ファブル』は一般 (集合全体) より2倍近く『NINJA KAMUI』を好んで見ているので、親和性の高い作品同士、という解釈になります。
番組別ファン層の集合図
吉田
ネットや身のまわりの評判から、ここまで読み取るのはほぼ不可能ですね!
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『小市民シリーズ』の番組別ファン層分析 (特定番組視聴者の中で何が見られているか)
片岡
では『小市民シリーズ』にしてみましょうか。これはちゃんと特徴が出ますね。『小市民シリーズ』が好きな人は、アニメ視聴者全体と比較して『負けヒロインが多すぎる!』を4倍多く見ています。つまり、『小市民シリーズ』を見る人は特に『負けヒロインが多すぎる!』も、併せて見ているんです。「親和性の高い作品同士」、「客層が被る作品同士」と言うことになります。
吉田
そういう意味か!
片岡
『小市民シリーズ』のファン層はリフト 2.6倍の『先輩はおとこのこ』、2.5倍の『狼と香辛料』、2.1倍の『義妹生活』のような人間ドラマとか、心理的な人間模様を描くような作品が好きなんでしょうね。僕の経験値でこの仕切り線が 1.3倍を超えると他より多いと言えます。
上方向のリフトの話の次は右方向です。この番組ファン集合の中で、多くの人に見られている作品ほど右方向に行きます。赤枠の中だと『逃げ上手の若君』が一番ですが、リフト1.8倍で『負けヒロインが多すぎる!』の 4.1倍の半分以下です。つまり、『逃げ上手の若君』は他の番組のファンでもよく見られているのでこのグラフで上方向にはそこまで上がらないのです。
このグラフにはないですが、右上にポツンと1作品などあると、それはリフトし、かつ見ている人も多いという意味になり、そのポツンと1作品のファン層グラフの方でも同じくらいの位置にあると、相思相愛と言ってもよいくらい親和性の高い作品同士になります。
探してみたらありました。『夜桜さんちの大作戦』と『杖と剣のウィストリア』。右上の緑枠同士が別格なので相思相愛ですね。3.5倍くらいリフト、かつ接触率 30% 前後、つまり3、4人に1人が見ていることになります。
『夜桜さんちの大作戦』の番組別ファン層分析 (特定番組視聴者の中で何が見られているか)
『杖と剣のウィストリア』の番組別ファン層分析 (特定番組視聴者の中で何が見られているか)
吉田
ネットや身のまわりの評判から、ここまで読み取るのはほぼ不可能ですね!
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『ザ・ファブル』の番組別ファン層分析 (特定番組視聴者の中で何が見られているか)
片岡
『ザ・ファブル』のファン集合だと、『NINJA KAMUI』は 1.7倍リフトしてます。しかし見ている人 (接触率) は 6% くらい。
一方『NINJA KAMUI』のグラフ (下にあります) を見てみましょう。『ザ・ファブル』は右端にあって37%と一番多く見られています。しかも良く見るとリフトは同じ 1.7倍です。これは、『NINJA KAMUI』を見る人が一番見ているのは『ザ・ファブル』で、リフトも2倍弱ですからそこそこ親和性の高い作品同士ということが言えそうです。
『NINJA KAMUI』の番組別ファン層分析 (特定番組視聴者の中で何が見られているか)
吉田
(グラフを確認して)やっぱり値は上がるんだ。
片岡
『NINJA KAMUI』のグラフの他の作品では、見ている人は少ないものの『異世界スーサイド・スクワッド』がリフト 3.5倍で接触率 10%、『NieR:Automata Ver1.1a』がリフト3.3倍で接触率 10%。これらは『ザ・ファブル』では入ってきてないですね。つまり、これら作品は『NINJA KAMUI』ならではの作品です。
その逆に『ザ・ファブル』では、『キン肉マン』がリフト 1.6倍で接触率 19% や『銀河英雄伝説 Die Neue These』がリフト 1.3倍で接触率 11% となっており、これらは『NINJA KAMUI』側にはありません。おそらくはこれら昭和な原作の年代のファンがテイストが昭和な『ザ・ファブル』にしっかりついてきている感じで面白いですね。
つまり、ベン図を書くと、『ザ・ファブル』と『NINJA KAMUI』の集合の円はぴったり重なっているのではなく、円の真ん中がそこそこ重なっているけれどそれ以外の領域もそれぞれある、というイメージです。
片岡
内容的には『ザ・ファブル』と『キン肉マン』は近いものがあります。悪と戦うバトルっぽいところとか。一方で、『NINJA KAMUI』にはあるけど、『ザ・ファブル』の方は一般的に人気な「異世界もの」が入ってないじゃないですか。
『ザ・ファブル』の番組別ファン層分析 (拡大)
吉田
そうですね。
片岡
だから『ザ・ファブル』ファンには、異世界ファンがあまりいないってことですよね。
吉田
逆に『ザ・ファブル』ファンは『時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん』みたいな萌えアニメも全く見ないってことですね。
片岡
ほんとそうですね。『キン肉マン』を見る人は萌えアニメや異世界から遠くなっていくということですね。(笑) で、逆に『キン肉マン』を見ている人は何を見ているのか?
『キン肉マン』の番組別ファン層分析 (特定番組視聴者の中で何が見られているか)
片岡
なんと『グレンダイザーU』が思い切りリフトしてますね。3.3倍で接触率 10%。これは昭和の仲間たちですね。オリジナルの放送は 1975~1977 年ですし、『キン肉マン』も連載開始は 1979 年ですね。その頃テレビアニメ見て漫画読んでましたからね。同世代です。しかし接触率の点ではやはり『ザ・ファブル』が一番見られています。35% は高いですね。この原作は新しいですが、絵柄とか雰囲気、そしてアニメ化の監督が『装甲騎兵ボトムズ』の髙橋良輔さんというテイストの親和性もあるのかもしれません。
吉田
おじさんアニメファンが確実に存在することが証明されてるんじゃないでしょうか
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『時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん』の番組別ファン層分析 (特定番組視聴者の中で何が見られているか)
片岡
はい、予想通りの作品が並んでますね。『義妹生活』リフト 4.3倍、『2.5次元の誘惑』3.9倍と高いし、『負けヒロインが多すぎる!』も 3.4倍といかにもな作品が思い切りリフトしてます。接触率は 10% 前後ですが、この辺の作品の親和性が高そうですね。
吉田
『しかのこのこのここしたんたん』はここで出てくるんですね。これはネットの評判で見てる結果って感じがしますね。
片岡
そうですね。割とここに上がっているのはネット評判が高い作品っぽいですね。
吉田
『【推しの子】』はどうですか?
片岡
『【推しの子】』は別格に右側にいますね。しかもリフトが 1.8倍あるし接触率は 54% と半数以上が見てます。丸が大きいとアニメ視聴者全体で大きいって意味なんですが、丸が大きくて上にリフトする作品は少ないんですよ。今まで見てきたグラフも『【推しの子】』はリフト線の下にいましたよね。
いろんな層の人が混ざって見てるから、特定の作品のファン層のグラフでリフトするのが難しくなるんですね。
なのにリフトしているのは、『時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん』を見る人は、アニメファン全体よりさらに多く見ていることになります。『推しの子』はネット民以外も幅広く見られる作品だと思いますが、おっしゃる通りネット民のパワーが勝って他の作品のファン集合よりリフトしている、と考えられますね。
吉田
例えば『しかのこのこのここしたんたん』だとネット評判以外はあまりないような気もするんですが、いかがですか?
『しかのこのこのこしたんたん』の番組別ファン層分析 (特定番組視聴者の中で何が見られているか)
片岡
『VTuber なんだが配信切り忘れたら伝説になってた』はぶっちぎりですね。リフト 5.2倍。『時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん』がちゃんとこっちでも高く 2.3倍。後は『【推しの子】』が 1.6倍。
吉田
これはネットでバズってる作品がどれだけ見られるかってことになりますよね?
片岡
そうですね。『逃げ上手の若君』もネットで話題ですし。こっちの方がよりネット民寄りですかね?
吉田
逆に『銀河英雄伝説 Die Neue These』は見られていない?
片岡
ですね。この作品のファン層とは一番遠い作品ですね。
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『疑似ハーレム』の性・年代バランス比較 (それぞれの順位の位置で傾向を見る) M/F は男性/女性、M/F1: 20-35歳、M/F2: 36-50歳、M/F3: 51歳以上、T: Teen
片岡
グラフの種類を変えて、このグラフではどの性・年代に当たっている作品かわかります。『疑似ハーレム』は総合順位は低く45位なんですが、上の年齢の男女とも低く、ティーンだと13位なんですね。つまり、特定の層には人気がある作品。
総合順位だけで見てしまうと、幅広い層で順位が高い必要があるのですが、そういう作品が人気があると思われやすくなってしまいます。特定の性・年齢にだけ人気があるのも重要なんです。
『ハズレ枠の【状態異常スキル】で最強になった俺がすべてを蹂躙するまで』の性・年代バランス比較 (それぞれの順位の位置で傾向を見る)
片岡
『ハズレ枠の【状態異常スキル】で最強になった俺がすべてを蹂躙するまで』は異世界転生もので面白い作品の1つですが、ちょっとエッチな感じじゃないですか。だから女性は少ないのかな?と。
吉田
そうすると、女性側の値が下がってくるんですか?
片岡
ところが、F1 は確かに低いのですが、意外に女性側の上の層 F2、F3 は強くて、もちろん男性は M1~M3 までみんな一桁順位です。ティーンが一番低いですね。F1 が他より低いことを考えると、ティーンの中の女性も含めて若い女性にだけ弱い作品、と言えるかもしれません。
吉田
なるほど。
片岡
『時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん』はどうかというと、これは若い人が男女共に一番強いですね。ティーンと M1 が3位。次が M2 と F1。人気がないのは女性36歳以上枠の (F2、F3) くらい。
『時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん』の性・年代バランス比較 (それぞれの順位の位置で傾向を見る)
吉田
『烏は主を選ばない』だとどうなるんですかね?
『烏は主を選ばない』の性・年代バランス比較 (それぞれの順位の位置で傾向を見る)
片岡
グラフがきれいですね。
吉田
極端に出てますね。
片岡
F2、F3 が高い。女性36歳以上が強いということは納得しますね。『大奥』のような大河ドラマ的作品ですから。
吉田
F3だとこんなに伸びていて、逆に M2、M1 はもう全然伸びてないですね。
片岡
そうですね。もう最下位に近いですね。異世界系やネット民の作品と正反対な感じです。ティーンと M3 はそこそこ人気がありますね。
吉田
こんなに差があるんですね。
片岡
性・年代差で各作品で大きな違いが出ます。だから総合で見ると真ん中辺りなんだけど、作品によって強い年代がいろいろ違うので、どの年代が稼いでその順位なのか?を見ていく重要な指標となります。これはうちのエンジニアが考えたアイデアです。
『小市民シリーズ』の性・年代バランス比較 (それぞれの順位の位置で傾向を見る)
片岡
『小市民シリーズ』はティーンが強いですね。同年代の共感が強いのかな。スイーツがネタだからってのもありますかね。その他は、各年代もそこそこ取れていて、性・年代によらずファンがいる作品、というのもあるのかもしれません。
吉田
まさに「小市民」というぐらいですからね。
片岡
『負けヒロインが多すぎる!』はどうだろう?
『負けヒロインが多すぎる!』の性・年代バランス比較 (それぞれの順位の位置で傾向を見る)
吉田
ティーンの値が高いんじゃないのかなー?
片岡
そうですね。ティーンが高いですが、M1 がトップ、M2 > M3 という感じで、若い人が中心ながら男性が稼いで、女性は総じて低調です。ネットでの人気が高いのに総合順位が30位となるのは、M1 以外が順位を稼げていないからですね。だからこそ、総合順位だけで見ると作品のおもしろさが見落とされてしまうわかりやすい例です。
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『ラーメン赤猫』の性・年代バランス比較 (それぞれの順位の位置で傾向を見る)
片岡
『ラーメン赤猫』は F3 の1位作品!です。やや女性全般が強めで男性もそこそこにて総合力で4位の快挙。
吉田
まんべんなく取れてますね。
片岡
『ラーメン赤猫』はサザエさん的に誰が見ても面白い。だからヒットの成功はキー局で放送したことでしょうね。放送が仮に TOKYO MX だったらヒットしていないかもしれません。キー局の番組プログラムの流れの中で、面白いのがあると見つけられた感じですね。
望月
『ラーメン赤猫』は『ニュース23』の放送後の枠ですからね。
片岡
『ラーメン赤猫』は一般人に刺すにはいい企画だった。このグラフはどの年代が稼いでいるかいろいろわかりますね。
吉田
これ例えばネット評判しかない『しかのこのこのここしたんたん』だとどうなるんですかね?
『しかのこのこのここしたんたん』の性・年代バランス比較 (それぞれの順位の位置で傾向を見る)
片岡
『しかのこのこのここしたんたん』は ティーンが強いですね。続いて M1 で10位。総じて若くやや男性寄り。
吉田
もしかすると仕事をしてる人はネットを見てないってことかもしれないですね。仕事をしてる人と高年齢の女性はあまりネットを見ていないって可能性が。予想通りの結果と言えば予想通りです。ちなみに『ザ・ファブル』はどうなるんでしょうね。
『ザ・ファブル』の性・年代バランス比較 (それぞれの順位の位置で傾向を見る)
片岡
『ザ・ファブル』を見てみましょう。
吉田
『ザ・ファブル』はすごい。みんな見てますね。
片岡
全体での順位が高いというのは、大半の層で強いから総合力であがりますね。唯一低いのが F1。ちょっとエロいからじゃないですか。
吉田
エロいというよりも不気味だからかもしれない。しかも美少年キャラは一切出て来ないですから。
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『俺は全てを【パリイ】する…』の番組サマリー (他の作品と比較して成績を比較)
片岡
またグラフの種類を変えて、まずはグラフの見方です。このグラフは作品の通信簿みたいなものですが、偏差値が出ます。 この例で言うと、大半が赤くなっている緑で囲んだ行です。何の偏差値かというと、上段の左から「1話切り回避率」「3話切り回避率」「3話時点残留率」「最終話上昇率」「予約消化率」です。50付近が全アニメ作品の真ん中くらい、それより上に行くほど成績がよく、下に行くほど成績が悪い、という意味になります。
偏差値欄の上の棒グラフは、オレンジがその作品のスコア、ブルーが全番組の平均スコアです。たとえば「1話切り回避率」で 86% とすると、1話を見た人のうち2話以降を一度でも見た人の率が 86%、逆に一度も見なかった (見るのをやめた) 人は 14% ということになります。「3話切り回避率」はこの基準を3話に変えたものです。
「最終話上昇率」は今回の集計が中間期なので意味がないですが、最終回がどれだけあがったかという結末が知りたい面白い作品などを把握できる指標です。
「予約消化率」は予約し、かつちゃんと見ている (ストックがどんどん溜まってない) という作品を見つけるためのもので、多くの方は面白い作品を優先的に見るので、この消化率が高いとおもしろい作品の可能性が高まります。消化率が悪い場合、劇場版のTVフォーマット版なので録画するだけなど他の要因もありますので、参考指標の1つです。
いずれも詳しい定義は画面右上にあります。
吉田
評判に対して作品のクオリティが高かったってことですか?
片岡
録画してすぐに見た (後回しにしてない) 人が多い作品ですよね。この数字が高いところで共通してわかるのは、実は異世界が強いんですよ。毎クールたくさん見ていると、異世界系は「次どうなる?」みたいなテンポの良い展開が気軽に楽しめるので優先的に見て (消化して) しまうというのは実体験としても感じてます。
吉田
そうですよね。だから今いっぱい「異世界もの」の作品が作られる理由もあるんですよね。
片岡
結局、異世界ファン層のボリュームが大きいという点が効いています。彼らの反応が数字全体にも影響しやすいということですね。なので異世界ファン層に刺さらない作品は数字が稼ぎにくい。一方で時間帯がいいとか『ラーメン赤猫』みたいな広い層に刺さる作品は数字が上がるんで、そういう作品は別格だから一緒に比較しちゃいけません。
つまり『転生したらスライムだった件』『推しの子』『ザ・ファブル』『ラーメン赤猫』『僕のヒーローアカデミア』『キン肉マン』は別枠なんですよね。じゃあ勝負してる作品をそれ以外で見ると、実は1位は『俺は全てを【パリイ】する〜逆勘違いの世界最強は冒険者になりたい〜』じゃないですか。
『俺は全てを【パリイ】する〜逆勘違いの世界最強は冒険者になりたい〜』『新米オッサン冒険者、最強パーティに死ぬほど鍛えられて無敵になる。』『ハズレ枠の【状態異常スキル】で最強になった俺がすべてを蹂躙するまで』は、まさに今期これ面白いじゃんという3作品だった。それからネットでも評判の『時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん』が来て、評判通りに『逃げ上手な若君』も数字いいねみたいな、こういう見方をするのが順当かなと。そうすると『俺は全てを...』が頑張ってるよねってことです。
総合ランキング (別枠以外をマーキング)
吉田
そうですね。このデータを公開すると、『俺は全てを【パリイ】する〜逆勘違いの世界最強は冒険者になりたい〜』が面白いと言っていた人が集結できる瞬間が来るんじゃないかと思うんですよね。そうやって可視化されると、面白い作品がちゃんと報われる可能性が上がると思います。
片岡
こういうデータも活用しつつ実際に番組も見て、その感想も踏まえたアウトプットをすることで、みんなにアニメをもっと楽しんでほしいし、配信でも見てほしいし、埋もれてしまいがちな作品を世に広げたいんですよ。
今日はありがとうございました。今後ともよろしくお願いします。
吉田
こちらこそ、貴重な話をありがとうございました。
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この作品が好きな人はこの作品も結構見てます
・『ザ・ファブル』ファン :『NINJA KAMUI』や『キン肉マン』『烏は主を選ばない』『烏は銀河英雄伝説 Die Neue These』が親和性高め。
・『小市民シリーズ』ファン :『負けヒロインが多すぎる!』『先輩はおとこのこ』『狼と香辛料』『義妹生活』『逃げ上手の若君』とファン層が被る。
・『夜桜さんちの大作戦』と『杖と剣のウィストリア』ファン : 相思相愛 (双方の作品を見ている人が、他の作品と比較して別格に多い) 。『FAIRY TAIL』も共通して高め。
・『NINJA KAMUI』ファン :『異世界スーサイド・スクワッド』『NieR: Automata Ver1.1a』『ザ・ファブル』などが高い。
・『キン肉マン』ファン :『ザ・ファブル』『グレンダイザーU』との親和性が高い。
・『時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん』ファン :『義妹生活』『2.5次元の誘惑』『負けヒロインが多すぎる!』『【推しの子】』『しかのこのこのここしたんたん』など、ネットで話題な作品と親和性が高い。
・『しかのこのこのここしたんたん』ファン :『VTuber なんだが配信切り忘れたら伝説になってた』『時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん』『【推しの子】』『逃げ上手の若君』と親和性が高い。
総合順位だけで見るとおもしろい作品を見落としがち
・『疑似ハーレム』総合 45位だが、ティーンには人気 (13位)。
・『ハズレ枠の【状態異常スキル】で最強になった俺がすべてを蹂躙するまで』総合9位だが、男性のM1 (5位)、M2 (8位)、M3 (9位)、女性のF2 (8位) と人気。
・『時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん』総合10位だが、ティーンとM1が3位、M2とF1が7位、M3が9位。
・『烏は主を選ばない』 総合20位だが、F3 (4位)、F2 (7位)。
・『小市民シリーズ』総合33位だがティーン (12位) と人気で、F2 (21位)、M1 (24位)。
・『負けヒロインが多すぎる!』総合 30位だが、 M1 (12位) と人気で、M2 (21位)、ティーン (22位)。
・『ラーメン赤猫』総合4位だが、F3 (1位トップ)、F2 (4位)。
総合順位から別格を除いた人気作品
・『転生したらスライムだった件』『推しの子』『ザ・ファブル』『ラーメン赤猫』『僕のヒーローアカデミア』『キン肉マン』は別格。
・別格を除いた人気作品は、『俺は全てを【パリイ】する〜逆勘違いの世界最強は冒険者になりたい〜』『新米オッサン冒険者、最強パーティに死ぬほど鍛えられて無敵になる。』『ハズレ枠の【状態異常スキル】で最強になった俺がすべてを蹂躙するまで』の「なろう系」3作品。
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